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REDSのアシスタントとして、Toshi&Timのディベート教室を手伝い始め、すでに1年以上たつ。
子供達の成長は目覚しく、最初のうちはテーブルの下に隠れてモジモジしていた子供達が、
今では堂々と”Gettysburg Address”を人前で暗誦するようになった。
「自分の思いを相手に伝える手段を持つ。」この事が人に自信を与えるのだという実例を
REDSで関わった子供達に教えてもらったような気がする。

私が最初に「話すこと」について真剣に考えたのは中学3年生の時、竹内敏春という人の
「ことばが劈(ひら)かれるとき」という本を読んだのがきっかけだった。
著者は病気で16歳まで耳が聞こえず、20歳になってようやく会話が何とかできるようになった途端、
敗戦による価値観の転覆が原因で精神的な失語状態になってしまう。そのような体験を経て、
「話すこと」の本当の意味を追求し続けている人だ。当時の私は人とのコミュニケーションが
とても下手だったので、他者と話ができない、理解してもらえるすべがない。という事がどれほど
辛いことなのか、自分の苦しさをこの人ならきっと分かってくれる。と思い本当に嬉しかった。
著者は、このようなハンディにもめげず東大を卒業し、日本の演劇界を代表する演出家となった。
20才までにろくに話もできなかった人が、舞台の演出家になれるのであれば、私もがんばれば
何とかなるぞ!と勇気をもらい、コミュニケーションについて自分なりに学ぶ中でToshiやTimと出会い、
今ではREDSのお手伝いをさせてもらっている。

REDSの子供達の成長ぶりに刺激を受けて、私も更に勉強しようと思っていたところ、先月偶然、
竹内さんの演劇レッスンに参加することができた。実はこの人は1925年生まれで、私はもうとっくに
引退か、亡くなったと思い込んでいたのだが、なんとまだご健在だったのだ!
しかもこんなに理路整然とした元気な80代は私の知る限り、瀬戸内寂聴くらいしか見たことがなかった!

私は竹内さんに質問した。「話す能力を向上させるには、どうしたらいいですか?」
するとこのような答えをいただいた。「話すということは、文字の音声化ではありません。自分を相手に
届けるという行為です。子供は自分の中に湧き上がる思いを言葉にして伝え、受けとめてもらう体験を
繰り返してようやく他者と関わることができるのです。それ無しに、ただ口先だけで話しても、
人間が情報伝達の機械となるに過ぎません。」

話すことの楽しさに気づいたREDSの子供達は、本当に生き生きとしている。
彼らの中から湧き上がる言葉は、私達に希望を与えてくれる。

2008年 YOKO MORI


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