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月刊 海外子女教育 2004.7
 海外子女教育振興財団は、「高校生英語ディベートワークショップ」を5月15日、同財団にて開催した。 スピーチディベート研究所代表取締役の井上敏之氏と大妻女子大学社会情報学部教授のティム・ライト氏が、 イギリスの国会討議を模したParliamentary Debate(パーラメンタリー・ディベート)の仕方を、 参加した17人の帰国子女に終始英語でデモンストレーションした。

 参加した生徒たちはディベートに挑む前に、そもそもの基本となる質問の仕方、答え方などを皆でペアを 組んでロールプレイをしながら学んだ。そして、効果的なアイ・コンタクト、発声やボディーランゲージなど mannerについて、生徒同士が互いの能力を評価し合うエクササイズが行われたあと、スピーチのmatter(内容) をいかに建設的に、メモを見ずに時間内で弁論すべきか的確な指示を受けた。

 講師の井上氏とライト氏の指導の方法は「Learn by Doing!」。とにかく恥ずかしがらず意欲的に参加させ練習を重ねながら習得させていく。ディベート中は試行錯誤しながらも一定のリズムと流れを保つことが何よりも重要なため、ワークショップも次々と爽快にゲームをクリアしていく感覚で展開されていった。

 基礎トレーニングを経たあとは実際にPrime Minister and Members of Government(与党側)と Members of Opposition(野党側)に分かれ、いよいよパーラメンタリー・ディベートが行われた。 議題は、「This House would prefer e-mail to handwritten letter(この議会は手書きの手紙よりも Eメールの方を好む)」と、「This House believes that McDonald's should be popular in the world (この議会はマクドナルドが世界で人気を占めるべきと信ずる)」。

 国会に与党側が提出したMotion(議題)を与党側が支持する形で自らの論点を弁論し、野党側はその主張に反論(rebuttal)する。限られた時間内で両サイドがいかにJudge(審判)、および聴衆=議員を説得できるかという、じつに高度なパブリック・コミュニケーション・スキルが試される。井上氏は 実際にストップウォッチで参加者個々のスピーチを計り、タイムオーバーすると鈴を鳴らす。これだけでも緊張感が走り、国会の雰囲気がシミュレートされたかのように教室全体が興奮で盛り上がった。

 井上氏は帰国子女のみならず日本のビジネスマンが、国際的なビジネスの舞台に立ち自信を持って聴衆の前で公演できるようにトレーニングすることを目指していると言う。またパーラメンタリー・ディベートの醍醐味は「一種のゲーム感覚で実践する知的スポーツ」だと語った。一方ライト氏は、「日常英会話のみで英語を上達させるには限界があるが、パーラメンタリー・ディベートはその特徴からして、直前に与えられた議題に対して論理的に取り組み、英語を駆使しながら即興で立論するため、英語力の限界に挑み、超えることさえできる」と語った。



ディベートにおけるプレゼンテーション・
スキルについて語る井上敏之氏

 ワークショップを終えた生徒たちは皆、何かを達成できた自信と喜びに満ちており、「英語で議論する環境にさらされて良かった」「時間制限があるなかで自分の論点を効果的に主張することを学べた」「ディベートは難しいけれどこんなに楽しいものだとは思わなかった」などと感想を語った。どこか引っ込み思案であった高校生たちが終了時には大きくポジティブに変化していた

 わずか3時間でディベートの面白さと魅力を最大限に味わうことができ、同財団では今後定期的な開催を検討している。

取材・文=大石 美和